就職活動で多くの企業が導入している「テストセンター形式のSPI」。
自宅で受けるWebテストとは異なり、専用会場で受験するこの形式には独自の特徴や注意点があります。
この記事では、テストセンター形式の基本情報から出題内容、当日までの準備の流れまでをわかりやすく解説します。実際に受検した方の体験談もあるのでぜひ最後までご覧ください。
こんな人に読んでほしい
- テストセンター形式のSPIの特徴を知りたい人
- テストセンター形式のSPIでどんな問題が出るのか知りたい人
- テストセンター形式のSPIの効果的な対策法を知りたい人
SPIのテストセンターとは?

SPIのテストセンターとは適性検査「SPI」の受験方法の一つです。SPIの受験方法のなかで最も利用されることが多い方式です。
SPIには「能力検査」と「性格検査」がありますが、テストセンター形式を選んだ場合、「能力検査」はリクルート社が用意した会場のパソコンで受験し、「性格検査」は事前に自宅のパソコンやスマートフォンで受験します。
SPIのテストセンター以外の受験方法も知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。
テストセンターにはリアル会場とオンライン会場がある!
そしてSPIのテストセンター形式の中にも「リアル会場」と「オンライン会場」の2種類の方式があります。
- リアル会場:リクルート社が用意した専用の会場でテストを受ける
- オンライン会場:自宅でオンライン監視のもとテストを受ける
大きな違いは専用の会場に行って受けるか、自宅で受けるかです。
オンライン会場の場合は自分のパソコンを使用します。ただ、オンライン会場の場合もリアル会場と同様に監視システムがあり、パソコンのカメラで自動的に監視されています。
受験場所が違うだけで問題も形式も全て一緒なので自分のやりやすい方を選ぶようにしましょう。
テストセンター形式で受検するまでの流れ
テストセンター形式で受験するまでの流れを解説していきます。
- 企業から受験案内を受け取る
企業から受検案内メールを受けとって記載されているテストセンター予約サイトのURLにアクセスします。 - 受験予約をする
テストセンター予約サイトにログインをし能力検査の会場・日時を選択し、予約を行います。 - WEB上で性格検査を受ける
自分のパソコンやスマートフォンで性格検査を受検期限までに受検します。 - 受験予約完了メールを受け取る
性格検査の受験が完了するとテストセンター会場の予約が完了します。 - 受検本番
予約した日時にテストセンター会場に行き受検します。
受検予約や性格検査などの期限をしっかり守って、受検予約完了メールを受け取るまで油断しないようにしましょう。
SPIのテストセンターと他の受験形式の違いは?

SPIにはテストセンター以外に、Webテスティング、ペーパーテスティング、インハウスCBTの3つの形式があります。ではテストセンターと他の受検方式にはどんな違いがあるのでしょう。
他の形式について知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。
1年以内であれば結果を使い回すことができる
1つ目は1年以内であれば結果を使い回すことができるということです。
受検から1年以内であれば前回の結果を別の企業の選考にも利用できるという仕組みがあります。ただ、何回受験しても使い回すことができるのは直前に受検した時の結果のみです。
受検者はSPIで何点取ったのか正式な成績を知ることはできませんが、高得点指標を参考にして高得点だと思われる結果の場合それを使い回すことが出来るのでうまく利用してみてください。
自分のSPIが高得点かどうか確認したいという方はこちらの記事をご覧ください。
電卓を使うことができない
2つ目は電卓を使うことができないということです。
テストセンター形式のSPIでは電卓を使うことが禁止されています。
リアル会場では支給される、オンライン会場では自前のメモ用紙と筆記用具で計算を行います。電卓を使用した場合不正行為となるので注意しましょう。
練習の時から電卓なしで解くようにしましょう。
テストセンターのみで出題される問題がある
3つ目はテストセンターのみで出題される問題があるということです。
SPIの全ての形式に共通する科目は「言語」「非言語」の能力検査と「性格検査」の3つです。
テストセンターではこれに「英語」「構造把握」が加わる場合があります。これは企業によって含まれる場合と含まれない場合があるので志望する企業の受検科目をよく確認しておくようにしましょう。
「英語」はペーパーテスティングでも出題される場合がありますが、「構造把握」はテストセンターのみです。
SPIの英語と構造把握の勉強法について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
テストセンター形式のSPIではどんな問題が出るの?

ではテストセンター形式のSPIでは具体的にどんな問題が出題されるのでしょう。
「能力検査」では言語・非言語の問題が出されます。企業によっては英語・構造把握が出る場合もあります。「性格検査」も含めてそれぞれどのような問題が出るのか解説していきます。
能力検査:言語
1つ目は能力検査の中の言語問題です。言語で出題される単元は以下の通りです。
- 二語の関係
- 語句の意味
- 語句の用法
- 文の並べ替え
- 空欄補充
- 長文読解
言語問題では語彙力・文章力を活かして解く問題が多いです。問題のレベルとしては中学・高校レベルで、特段難易度が高いわけではありませんが、時間配分に注意して解くことがポイントです。
例題:空欄補充
文中の空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
音楽や映画をオンラインで楽しむことが一般的になり、ストリーミングサービスの需要は大きく高まっている。しかし、多くの人が同じ作品を視聴するため、興味の(1)が起こる一方、新たな作品に出会う機会は(2)という課題も指摘されている。
選択肢:
- A:1 同質化 2 増加している
- B:1 複雑化 2 増加している
- C:1 同質化 2 減少している
- D:1 多様化 2 減少している
- E:1 単純化 2 増加している
- F:1 多様化 2 減少している
解答:C
解説:
1.同質化(どうしつか)
「多くの人が同じ作品を視聴する」という状況から、人々の興味や好みが似通ってくることを意味します。「多様化」や「複雑化」はこれとは逆の意味なので不適切です。
2.減少している(げんしょうしている)
興味が「同質化」すると、人々の関心は一部の作品に集中します。そのため、まだ知られていない新しい作品に出会う機会は自然と「減少」します。「増加している」は文脈に合いません。
他の例題も気になるという方はこちらの記事もご覧ください。
能力検査:非言語
2つ目は能力検査の中の非言語問題です。非言語で出題される単元は以下の通りです。
- 推論
- 場合の数
- 割合と比
- 損益算
- 金額計算
- 速度算
- 集合
- 表の読み取り
非言語問題では複雑な計算というよりは論理的な思考力が求められる問題が多いです。そのため数学が得意でもつまずく人もいるので、言語問題よりも非言語問題の方を優先して対策することをお勧めします。
例題:推論
箱の中の数字について、次の3人が発言しました。
X:「その数字は5である。」
Y:「その数字は偶数である。」
Z:「その数字は奇数である。」
このうち、全員が本当のことを言っているとは限らない。そこで、以下の推論がなされた。次のうち正しいものを一つ選びなさい。
選択肢:
- A:Xが正しければ、Yは必ず正しい。
- B:Xが正しければ、Zは必ず正しい。
- C:Yが正しければ、Zは必ず正しい。
- D:Zが正しければ、Xは必ず正しい。
解答:B
解説:
この問題は、数字の性質と論理的な関係を理解しているかがポイントです。
Xの主張:「その数字は5である」
Yの主張:「その数字は偶数である」
Zの主張:「その数字は奇数である」
もしXが正しければ、その数字は5です。5は奇数なので、Zの主張「その数字は奇数である」も必ず正しいと言えます。Yの主張「偶数である」は間違いになります。
他の例題も気になるという方はこちらの記事もご覧ください。
能力検査:英語
3つ目は能力検査の中の英語問題です。英語で出題される単元は以下の通りです。
- 同意語
- 反意語
- 英英辞典
- 空欄補充
- 長文読解
英語の問題では基礎的な語彙力に加えて読解力も必要になります。
例題:空欄補充
文中の___に入る語として最も適切なものを、AからDまでの中から1つ選びなさい。
交通渋滞がひどかったので、私は会議に遅れました。
____ of the bad traffic, I was late for the meeting.
選択肢:
- A:Because
- B:Although
- C:Despite
- D:Instead
解答:A
解説:
後に名詞句「the bad traffic」が続くので、「Because of」のofが必要です。選択肢の中ではBecauseが最も近いですが、文法的にはBecause ofが正しいです。
他の問題も気になるという方はこちらの記事もご覧ください。
能力検査:構造把握
構造把握では「言語(国語)」と「非言語(数学)」の2つがあります。
出題されるのは、似ている文章をグループ分けする問題です。「言語(国語)」では題材をもとに文章をグループ分けし、「非言語(数学)」では計算の文章問題をグループ分けします。
例題:非言語
次のア〜エのうち、問題の構造が似ているものの組み合わせを、A~Fのなかから1つ選びなさい。
ア. ある商品に定価の2割引で値札が付けられ、さらにそこから1割引で販売された。最終的な販売価格は定価の何%か。
イ. スーパーで卵が1パック180円、牛乳が1本220円。卵3パックと牛乳2本を買ったときの合計金額は?
ウ. 兄は5kmの道を40分で、弟は同じ道を50分で歩いた。兄は弟よりも何割早いか。
エ. 全体の60%が女性で、そのうちの20%がパート勤務をしている。
パートの女性は全体の何%か。
選択肢:
- A. アとイ
- B. アとウ
- C. アとエ
- D. イとウ
- E. イとエ
- F. ウとエ
解答: C. アとエ
解説:
アとエはともに「割合に対してさらに割合をかける」という2段階の構造をしています。 つまり、「全体 → 一部 → さらに一部」という形式で、最終的に全体に対する割合を出すことが求められているため、構造が一致します。
他の例題も気になるという方はこちらの記事もご覧ください。
性格検査
5つ目は性格検査です。
性格検査は300問ほどの問題を約30分で回答していきます。明確な正解はなく、心理テストのような質問がされます。
例題
新しいアイデアを考えるのが好きだ。
- A. そう思う
- B. どちらかといえばそう思う
- C. どちらかといえばそう思わない
- D. そう思わない
このように答えのない問題が出題されます。
他の問題も気になるという方はこちらの記事もご覧ください。
テストセンター形式のSPIの練習方法

そんなテストセンター形式のSPIの練習方法を解説していきます。
SPI体験模試を受ける
1つ目はSPI体験模試を受けることです。
SPI体験模試は、SPIを本番同様の形式で受けられる簡単な模試です。無料で受けることができ、時間も計測されるなど本番同様の模試なので、時間を意識しながら本番の形式に慣れることができます。
さらに、本来ではわからない点数がわかるので、自分の得意分野・不得意分野を見つけることができます。自分の不得意分野をなくして高得点を狙うためにも、ぜひ積極的にSPI体験模試を利用してみてください。
SPI体験模試はこちら
志望度の低い企業で実践する
2つ目は志望度の低い企業で実践することです。
テストセンター形式のSPIは試験官に監視されながらテストを受けるので会場の雰囲気に慣れることが重要です。
そのため自分の中で志望度がそこまで高くない企業もたくさん受けて、志望度の高い企業に向けた練習とすることも対策法の一つです。
その際、ただ何も考えずに受けるのではなく自分の中の課題を見つけて次に同じミスをしないように分析することが大切です。
1冊の本を繰り返し実施
3つ目は1冊の本を繰り返し実施するということです。
SPIの対策本には解説が丁寧に書かれているものが多いです。そのため色々な対策本に手を出すより一冊の対策本を完璧にする方が効率的に勉強できます。
「解く→解説を熟読する」を繰り返して全ての問題が解けるようになったら、次の対策本に進みましょう。
英語・構造把握の問題演習
4つ目は英語・構造把握の問題演習です。
英語・構造把握は全ての企業で出題されるというわけではないですが、出題される場合しっかり対策することが必要です。どちらも問題形式をまず理解して、そのあとは問題集を使ってひたすら演習することが大事です。
問題集の中には英語・構造把握が含まれていないものもあるので、何の科目が含まれているかチェックしてから問題集を選ぶようにしましょう。
英語と構造把握の勉強法について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
テストセンター形式のSPIに関するよくある質問に回答!

テストセンター形式のSPIに関するよくある質問に答えていきます。
当日の持ち物は何がある?
持ち物は受検表と顔写真付きの本人確認書類だけです。
リアル会場で受けるテストセンター形式のSPIでは用意されているパソコンと筆記用具で受検するので、受験票と顔写真付きの本人確認書類があれば他の持ち物は入りません。
むしろ自前の筆記用具とメモ用紙は使用できないので余計な荷物になってしまいます。ただ、オンライン会場の場合はこれらに加えて、Webカメラ付きのパソコン、筆記用具、メモ用紙を用意する必要があります。
リアル会場で受ける場合何分前に着けばいい?
検査開始の20分前には会場に着くようにしましょう。
着いてすぐ受検するのではなく、受け付けや荷物を預ける時間があるためです。また、当日は交通機関の遅延や会場までの道がわからないなど予定外のことが起こる可能性があります。
余裕を持って行動することが大切です。
当日の服装は?
テストセンター受検に服装規定はありません。
私服でもスーツでも自分の好きな格好で大丈夫です。オンライン会場の場合でも同様でどんな格好で受けても選考に関わることはありません。
休憩時間はある?
テストセンター受検に休憩時間はありません。
一度パソコンから受検を始めたら中断することはできないので注意が必要です。30分から1時間拘束されます。集中して受けられるように準備をしておきましょう。
実際にテストセンター形式のSPIを受検した先輩方の体験談

最後に実際にテストセンター形式のSPIを受検した先輩方の体験談を紹介します。
体験談①

初めてテストセンターを受けたとき、想像以上に緊張してマウスを持つ手が震えました。周りの人がどんどん進んでいるように見えて焦りましたが、途中で「自分のペースで解こう」と意識を切り替えてからは落ち着いて解けました。
リアル会場で受けると、周りに受検生がいるため緊張感も増すと思いますが、自分のペースで解くことが大切です。会場の雰囲気に慣れるという意味でも、志望度の低い企業のSPIも積極的に受けることは大事になってきます。
自分が対策してきたことを出し切れるように、当日はリラックスして臨みましょう。
体験談②

テストセンターを受けた日は、会場までの道を間違えてギリギリに到着してしまい、開始前から息が上がっていました。落ち着かないまま受けたせいで序盤の問題に集中して解けず、時間に余裕を持つ大切さを痛感しました。
当日は時間を持って行動しましょう。何が起こるかわからないので、検査開始の20分前には着くようにすると余裕を持って試験に臨めます。
まとめ
この記事を要約すると以下のようになります。
- SPIのテストセンターとは適性検査「SPI」の受験方法の一つ
- SPIのテストセンターには「リアル会場」と「オンライン会場」がある
- 他のSPIの受検方式との違いは「1年以内であれば結果の使い回し可能」「電卓使用禁止」「構造的把握力が出題される可能性あり」
この記事ではSPIのテストセンターについて解説してきました。
テストセンター形式のSPIはSPIの中でも最も用いられることが多い受検方式です。そのため受検までの流れや出題科目、対策方法をしっかり理解しておくことが大切です。万全な対策をして、高得点を狙っていきましょう。
テストセンター型のSPIを含め、SPIの対策をする中で「なかなか解けるようにならない」など不安なことがあれば積極的に「就活面談」を活用してみてください。「就活面談」では就活のプロに就活での不安を相談することができます。あなたに合った勉強法が見つかるかもしれません。
この記事が最後まで読んでくださったあなたのお役に立てれば幸いです。
人気記事





