理系に向いてる仕事ってなに?専門分野別のデータや人気企業を徹底解説!

理系 向いてる仕事

「理系として勉強してきたけれど、自分にどんな仕事が向いているのか分からない

──そんな不安を抱える理系学生は少なくありません。

専攻ごとの就職先や、男女で人気の業界の違い、年収や将来性などを一人で調べていると、情報が多すぎてますます迷ってしまいがちです。

でも安心してください。理系に向いている仕事は想像以上に幅広く、専攻や性格に合ったキャリアパターンが必ず見つかります。

この記事では、理系の代表的な職種・業界、専攻別・男女別の就職傾向、年収や将来性の高い仕事までを整理しながら、「自分はどんな進路を選べそうか」が具体的にイメージできる状態を目指して解説していきます。

こんな人に読んで欲しい

  • 理系だけど、「研究職以外にどんな仕事があるのか」をざっくり知りたい大学生・大学院生
  • 専攻(機械・情報・化学など)ごとの就職先の違いや、男女での人気業界の差を押さえたい就活生
  • 年収や将来性もふまえて、自分に合いそうな理系キャリアの候補を整理したい人

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理系の仕事のキホン

科学

理系学生の多くが、自分の専門性を社会でどう活かすか悩んでいます。まずは、理系の仕事がどんな種類に分かれているのか全体像をつかんでおきましょう。

理系の仕事3職種

理系人材が活躍する代表的なフィールドは「研究職」「技術職」「IT職」の3つです。一つの製品が世の中に出るまでの流れの中で、研究職がアイデアを生み、技術職が形にし、IT職がシステムとして動かします。

まずはこの3つの違いと役割を押さえることで、「自分はどこに向いていそうか」をイメージしやすくなります。

研究職

研究職は科学技術の最前線で「0から1」を生み出す仕事です。大学や企業の研究所で、未知の現象の解明や新素材・新薬の開発などに取り組みます。

基礎研究は長期的に役立つ知識や理論を積み上げ、応用研究はそれを具体的な製品やサービスにつなげていきます。成果が出るまで時間はかかりますが、世界を変える発見につながる可能性があるのが魅力です。

技術職

技術職は、研究で生まれたアイデアを実際の製品や設備として形にする仕事で、「エンジニア」と呼ばれることも多いです。設計・開発、生産技術、品質管理など担当領域は幅広く、日本のものづくりの中核を担っています。

現場の制約をふまえて最適解を探す必要があるため、理想とコストや安全性のバランス感覚が求められます。自分が携わった製品が世の中で使われる姿を目にできるため、社会貢献を実感しやすい職種です。

IT職

IT職は、ソフトウェアやシステムを設計・開発・運用し、社会やビジネスを支える仕事です。SEやプログラマーとしてアプリや業務システムを作るほか、インフラエンジニアとしてネットワークやクラウド環境を支える人もいます。

論理的思考力があれば文理を問わずチャレンジしやすく、リモートワークなど場所を選ばない働き方がしやすいのも特徴です。AIやビッグデータ分野では、理系の数学・統計の知識が特に強みになります。

文系の仕事と理系の仕事の違い

一般に、文系の仕事は営業やマーケティングのように「人」や「感情」を扱う場面が多く、理系の仕事は開発や分析のように「技術」や「事実」を扱う場面が多いと言われます。

ただし最近は、技術営業やコンサルタントのように文理の要素が混ざった職種も増えています。理系出身者が文系職に就くケースも多く、研究室で鍛えた分析力やプレゼン力が評価されることも少なくありません。

【チェックリスト】理系学生の仕事の選び方

チェックリスト

理系学生は、専門性だけでなく「どんな働き方をしたいか」も含めて適性を考える必要があります。ここでは仕事選びの軸になる3つのチェックポイントを確認しましょう。

自分のやりたい仕事か

「好き」「面白い」と感じる気持ちは、困難に直面したときに踏ん張るための大きなエネルギーになります。今取り組んでいる研究テーマや授業で、「もっと深掘りしたい」と感じた瞬間があったか思い出してみてください。

勉強とは別に、時間を忘れて没頭してしまう趣味や活動からヒントが見つかることもあります。自分の感情が動く場面を書き出すことで、やりたい仕事の方向性が見えてきます。

専門性を活かせる仕事か

大学で学んだ内容をそのまま使える仕事に就く人もいれば、学び方や考え方を活かして別分野に進む人もいます。機械・電気・情報系は専攻と仕事がつながりやすい一方で、物理・数学・化学などの基礎系は「どこに行けるのか」が見えにくいと感じるかもしれません。

そんなときは、身につけた「問題を整理し、仮説を立てて検証する力」がどんな職種で役立つかを考えてみましょう。視野を狭めず、「知識」だけでなく「思考プロセス」が活かせる場を探すことが重要です。

性格や強みと合っているか

同じ理系職でも、じっくり腰を据えて実験や解析を行う仕事もあれば、人と話しながら仕様を詰めていく仕事もあります。人と話すのが好きなのか、一人で集中して作業するのが得意なのかによって、向いている職種は大きく変わります。

周囲から「頼られる場面」や「褒められた経験」を振り返ると、自分の強みが見えやすくなります。能力だけでなく性格とのフィット感を意識することで、入社後のミスマッチを減らすことができます。

【一覧】理系に向いてる仕事20選

エンジニア

ここからは、理系学生の知識やスキルが活かしやすい代表的な20職種を紹介します。どの職種も現代社会を支えるうえで欠かせない役割を担っているので、「自分の強みがどこで生きそうか」を意識しながら読んでみてください。

システムエンジニア

システムエンジニア(SE)は、顧客の要望をヒアリングし、最適なシステムの仕様を設計する役割です。開発する機能やスケジュール、予算などを整理し、チームを動かす「司令塔」のような存在になります。

技術だけでなく、相手の言いたいことを言語化するコミュニケーション力が重要です。論理的に物事を組み立てるのが得意な理系出身者が多く活躍しており、上流工程を目指したい人に向いています。

プログラマー

プログラマーは、設計書をもとにプログラミング言語を使ってソフトウェアを実装する仕事です。Webサービス、スマホアプリ、業務システムなど、扱う分野によって使う言語やフレームワークが変わります。

新しい技術が次々に登場するため、継続的に学び続ける姿勢が欠かせません。ものづくりに没頭したいタイプや細かな改善を積み重ねるのが好きな人に向いています。

プロンプトエンジニア

プロンプトエンジニアは、機械学習やディープラーニングの技術を用いてモデルを設計・開発する専門職です。画像認識や自然言語処理など、AIを使ったサービスの中身を作る役割を担います。

線形代数や確率統計などの数学的な知識が必要で、アルゴリズムを理解しながら実装していきます。最先端の技術に触れたい人や、新しい価値を生むプロダクトづくりに関わりたい人に人気の高い職種です。

機械学習エンジニア

機械学習エンジニアは、既存のアルゴリズムを実際のサービスに組み込み、運用していく役割に特化したエンジニアです。大量のデータを扱い、前処理や特徴量設計、モデルの精度検証などを行います。

分析結果をビジネス側にわかりやすく伝える力も求められます。研究寄りの要素とエンジニアリングの両方が好きな人にとってバランスの良い職種です。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、企業が保有するビッグデータを分析し、意思決定に役立つ示唆を導き出す仕事です。統計解析や機械学習の手法を使いながら、売上の予測や顧客行動の可視化などを行います。

結果を経営陣や現場に伝えるプレゼン力も求められるため、数字とコミュニケーションの両方に強い人が活躍しやすいです。ビジネスの最前線で数字を武器に戦いたい人におすすめです。

ARエンジニア

ARエンジニアは、現実の映像にデジタル情報を重ね合わせる拡張現実(AR)技術を開発する仕事です。スマホゲームや観光アプリ、工場での作業支援システムなど、活躍の場は年々広がっています。

3Dプログラミングや画像認識、センサー制御など多様な技術を扱うのが特徴です。新しい表現や体験を技術で生み出したいクリエイティブ志向の人に向いています。

VRエンジニア

VRエンジニアは、仮想空間を作り込み、ヘッドセットなどを通じて没入感のある体験を提供するシステムを開発します。ゲームやメタバースに加え、医療訓練や工事シミュレーションなど産業向けの用途も増えています。

3Dグラフィックスや物理演算の知識に加え、ユーザーが酔いにくい設計など人間工学的な視点も必要です。エンタメと技術の両方に興味がある人にぴったりの職種です。

機械設計エンジニア

機械設計エンジニアは、自動車や家電、産業機械などの構造や部品を設計する仕事です。CADソフトを用いて図面を作成し、強度や安全性、コストなどを考慮しながら最適な形状を決めていきます。

大学で学ぶ力学や材料工学の知識がそのまま活かせる分野です。自分が設計した製品が実際に動く瞬間は、大きな達成感につながります。

電気エンジニア

電気エンジニアは、発電設備や配電システム、電子機器の電源回路など、電気エネルギーを扱う幅広い領域で活躍する技術者です。安全基準や法律を守りながら、効率よく電気を供給したり制御したりする仕組みを設計します。

高電圧を扱う分野では特に、リスク管理と責任感が重視されます。資格を取得することでキャリアの選択肢が広がり、安定したキャリアを築きやすい職種です。

電子回路エンジニア

電子回路エンジニアは、スマホや家電、産業機器などに組み込まれる電子基板の設計を担当します。部品をどのように配置し、どのような回路構成にするかを考えながら、性能とコストのバランスを最適化します。

近年はIoTの普及により、無線通信やセンサーを組み込んだ回路設計のニーズが増えています。細かな作業が得意で、ロジックを積み上げていくのが好きな人に向いた仕事です。

光学設計エンジニア

光学設計エンジニアは、カメラのレンズやレーザー装置、顕微鏡など、光を利用する機器の性能を決めるレンズ構成を設計します。レンズの曲率や配置をミクロン単位で調整し、解像度や明るさ、歪みなどを最適化していく緻密な仕事です。

高度な物理・数学の知識に加え、経験に基づく勘所も重視されます。日本企業が世界的に強い分野の一つで、グローバルに活躍したい人にもチャンスがあります。

生産技術エンジニア

生産技術エンジニアは、新しい製品を大量生産できるように、工場の設備や生産ラインを設計・改善する役割です。コストや品質、納期を満たす最適な生産プロセスを考え、現場と開発部門の橋渡しを行います。

改善活動を通じて、ムダを削減したり生産性を高めたりするのが主なミッションです。現場でのコミュニケーションが多く、ものづくり全体を俯瞰して見たい人に向いています。

品質管理

品質管理は、製品やサービスが決められた基準を満たしているかをチェックし、不良品を出さないよう仕組みを整える仕事です。抜き取り検査や統計的手法を用いた分析を行い、問題があれば原因を特定して改善策を提案します。

ミスを見逃さない慎重さと、データから冷静に判断する姿勢が求められます。企業の信頼を守る「最後の砦」として重要なポジションです。

品質保証

品質保証は、顧客に対して「この製品は安心して使えます」と約束するための体制づくりを担う職種です。品質マニュアルの策定や監査、クレーム対応などを通じて、会社全体の品質レベルを管理します。

製造現場だけでなく、設計や営業とも連携しながら再発防止策を進めていきます。顧客視点で物事を考えられる人や、ルールづくりが得意な人に向いています。

化学研究職

化学研究職は、新しい素材や薬品、機能性材料などを生み出すための研究開発を行います。実験計画を立てて試行錯誤を繰り返し、狙い通りの性質を持つ物質を探し出すのが仕事です。

結果が思い通りに出ないことも多く、粘り強さと安全への配慮が欠かせません。日本が得意とする素材産業を支えるやりがいの大きな分野です。

バイオ研究職

バイオ研究職は、生物学や生命科学の知識を活かして、医薬品や食品、環境技術などを開発する仕事です。細胞や遺伝子を扱うため、繊細な実験操作と高い再現性が求められます。

近年はデータ解析の重要性が増しており、プログラミングや統計を使いこなせる人材の需要も高まっています。医療や環境問題の解決に直接貢献したい人に向いたキャリアです。

医療技術職

医療技術職は、病院などで高度な医療機器を操作・管理する専門職で、臨床検査技師や診療放射線技師などが代表例です。検査結果や画像診断を通じて、医師の診断や治療をサポートします。

患者さんの命に関わるため、慎重さと責任感が非常に重要です。国家資格を取得することで、専門職として安定したキャリアを築くことができます。

航空整備士

航空整備士は、航空機の点検や修理を行い、安全なフライトを支える技術者です。機体の各部位をマニュアルに沿ってチェックし、不具合があれば交換や調整を行います。

英語で書かれた技術資料を読む場面も多く、語学力と厳格なルール遵守が求められます。多くの人の命を預かる責任の大きさと、それに見合う誇りを感じられる仕事です。

建築エンジニア

建築エンジニアは、建物の設計や施工管理を通じて街づくりに関わる仕事です。構造計算や設備設計などを行う設計職と、現場の進行を管理する施工管理職に大きく分かれます。

安全性やデザイン、コストのバランスをとりながら、関係者と調整を重ねて一つの建物を完成させます。完成後も地図に残り続ける「形のある成果」を残したい人に向いています。

技術営業

技術営業は、専門的な製品やサービスを、技術的な説明も含めて提案する営業職です。顧客の課題をヒアリングし、自社の技術でどう解決できるかを一緒に考えます。

エンジニアと同レベルの知識を持ちつつ、分かりやすくかみ砕いて伝えるコミュニケーション力が必要です。「人と話すのが好きな理系」にとって、高収入も狙える魅力的なキャリアです。

理系に向いてる業界5選

職種だけでなく、どの業界で働くかによって仕事の内容や働き方は大きく変わります。ここでは、理系人材のニーズが特に高い5つの業界をピックアップします。

IT業界

IT業界は、ソフトウェア開発やクラウドサービス、通信インフラなどを担う成長産業です。あらゆる企業がDX(デジタル化)を進めており、エンジニア不足が続いているため圧倒的な売り手市場が続いています。

年功序列ではなく成果で評価される会社も多く、若いうちから裁量と高年収を目指しやすいのが特徴です。変化が激しい分、学び続ける意欲のある人ほどチャンスをつかめます。

製造業

製造業は、自動車や電機、精密機器など日本経済を支えてきた伝統的な産業です。大企業が多く、福利厚生や教育制度が整っているため安定志向の学生に人気があります。

工場の自動化や環境対応など新しい課題も多く、理系職種が活躍できるフィールドは広いです。ものづくりの現場に近いところで働きたい人に向いています。

医療医薬バイオ業界

医療医薬バイオ業界は、医薬品や医療機器、再生医療、ヘルスケア食品など、人の健康に直接関わる製品を扱う業界です。高齢化や健康志向の高まりにより、今後も需要の拡大が見込まれています。

研究職だけでなく、開発、品質保証、安全性情報など多様な職種で理系人材が活躍できます。社会貢献性の高い仕事をしたい人に人気の分野です。

インフラ建設エネルギー業界

インフラ建設エネルギー業界は、電力・ガス・鉄道・道路・上下水道など、私たちの生活の基盤を支える仕事を担っています。景気の影響を受けにくく、長期的に安定しやすいのが特徴です。

再生可能エネルギーやスマートシティなど新しい技術への投資も進んでおり、チャレンジングなプロジェクトに関わるチャンスもあります。社会インフラを支える使命感を持って働きたい人におすすめです。

公的研究機関

公的研究機関は、国や自治体の研究所などで、長期的な視点から基礎研究や社会課題の解決に取り組む組織です。大学と企業の中間のような立場で、アカデミックな自由度と社会実装のバランスを取った研究ができます。

採用枠は多くありませんが、雇用形態は公務員に近く安定性が高いのが特徴です。じっくり研究を続けながら社会に貢献したい人に向いた進路です。

【専攻別】理系出身者ってどこに就職してるの?

専攻によって、就職しやすい業界や人気の業界には大きな傾向があります。ここではキャリタス就活「理系学生調査2024」のデータをもとに、主な専攻別の就職先をざっくり押さえておきましょう。

機械・電気系

機械・電気系では、1位が自動車・輸送用機器で約28.9%と圧倒的に高く、2位の電子・電機15.8%、3位の機械14.5%が続きます。いわゆるメーカー志向が強く、設計・開発や生産技術などで活躍する学生が多い専攻です。

通信や精密機器、エネルギー関連など他の製造業にも幅広く進めるのが特徴で、ハードウェアに興味がある人にとって選択肢が豊富な「王道ルート」と言えます。

情報系

情報系は、1位の情報処理・ソフトウェア・ゲームソフトが44.6%と半数近くを占め、IT企業への就職が中心です。2位には調査・コンサルタント7.4%、3位には電子・電機4.6%が入り、システム開発力を武器にコンサルやメーカーのIT部門へ進むケースも目立ちます。

文系出身者も多いIT職の中で、情報系の学生は基礎知識の厚さを評価されやすいのが強みです。プログラミングやデータ分析を軸にキャリアを築きたい人に向いています。

土木・建築系

土木・建築系は、建設・住宅・不動産に進む割合が77.8%と突出しており、まさに専攻と職種が直結している分野です。2位は官公庁・団体6.7%で、技術系公務員としてインフラ整備に関わる道も定番になっています。

ゼネコンやハウスメーカー、設計事務所など就職先は限られているように見えますが、その分、専門性を活かしたキャリアを築きやすいのが特徴です。資格取得とセットで長期的なキャリアを描きたい人に向いています。

化学・農学・薬学系

化学・農学・薬学系では、素材・化学が16.9%、医薬品・医療関連・化粧品が10.7%と、研究開発や品質関連の職種が人気です。水産・食品8.4%など、日々の暮らしに身近なメーカーに進む学生も多くなっています。

一方で、自動車・輸送用機器や情報処理など異業種に進むケースも一定数あり、専門知識を活かしつつキャリアの幅を広げることも可能です。研究だけでなく生産技術や品質保証も選択肢に入る専攻と言えます。

出典:キャリタス就活「理系学生調査2024」(2024年7月)

理系の仕事に向いてる人の特徴

向いてる人 リスト

理系の仕事には共通して求められる考え方や姿勢があります。ここで紹介する4つの特徴に当てはまる部分があれば、理系職種との相性は高いと言えるでしょう。

論理的思考力

論理的思考力とは、物事の原因と結果を筋道立てて考え、説明できる力です。実験結果がうまくいかなかったときに「なぜそうなったのか」を仮説とデータで整理する場面などで発揮されます。

プログラミングや設計、解析など多くの理系職種の基盤となるスキルです。日頃から「根拠は何か」を意識して考える癖がある人は、理系の仕事との相性が良いと言えます。

課題解決力

課題解決力は、問題に直面したときに「どうすれば解決できるか」を具体的な手順に落とし込める力です。研究や開発の現場では、最初から正解が分かっていることはほとんどありません。

限られた条件の中で仮説を立て、検証し、改善するサイクルを回していく姿勢が求められます。失敗から学び、諦めずに工夫を続けられる人ほど成長しやすい分野です。

コミュニケーションカ

コミュニケーション力は、難しい内容を相手に合わせて分かりやすく伝える「翻訳力」とも言えます。開発現場では、専門外の人に技術的な背景を説明しながら意思決定を進める場面が多くあります。

相手の理解度を確認しつつ説明することで、トラブルや手戻りを防ぐことができます。チームで成果を出す理系の仕事において、実は欠かせないスキルです。

知的好奇心

知的好奇心は、「なぜこうなるのだろう」「もっと良くできないか」と疑問を持ち続ける姿勢です。新しい技術や論文にワクワクできる人は、自然と学び続けられるため、長期的に専門性を高めやすくなります。

理系の仕事は、答えが一つに決まらないテーマに取り組むことも多い分野です。変化を楽しみながら自発的に情報を取りに行ける学び続けるタイプは、どの職種でも重宝されます。

【男女別】理系学生に人気な仕事ランキング

同じ理系でも、男子と女子では志望する業界にやや違いが見られます。ここでは内閣府男女共同参画局のデータをもとに、理系男子・理系女子それぞれの人気業界ランキングをシンプルに整理します。

理系男子に人気の業界ランキング

理系男子は、スケールの大きいものづくりやインフラに惹かれる傾向があります(1位の「製造」は約55.3%)。

  1. 製造(建設除く):自動車や電機メーカーなど、設計・開発から生産技術まで幅広く活躍できる王道の進路。
  2. サービス・インフラ:鉄道・電力・ガス・通信など、社会を支えるインフラ企業で安定性と使命感を両立できる。
  3. ソフトウェア・通信:ITインフラやネットワーク、クラウドなど、最先端技術を武器にキャリアアップを狙える。
  4. 建設:橋やトンネル、プラントなど「地図に残る仕事」に関わりたい学生が選ぶ分野。
  5. 官公庁・公社・団体:技術系公務員として公共インフラや研究に携わり、長期的な安定を重視する人に人気。

理系女子に人気の業界ランキング

理系女子は、専門性を活かしつつ、働きやすさや福利厚生を重視する傾向があります(「サービス・インフラ」は23.4%と男子より高い比率)。

  1. 製造(建設除く):食品・化粧品・日用品メーカーなど、生活に身近な商材でやりがいを実感しやすい企業が人気。
  2. サービス・インフラ:鉄道・電力・通信など、産休・育休や時短制度が整った「長く働きやすい」職場が多い。
  3. ソフトウェア・通信:在宅勤務やフレックスタイムなど柔軟な働き方がしやすく、エンジニアとしてキャリアを築ける。
  4. 官公庁・公社・団体:転勤が比較的少なく、地元で落ち着いて働きたい学生から支持を集めている。
  5. 建設:住宅メーカーやインテリア関係など、住環境の快適さを追求できる分野で女性技術者の活躍が広がっている。

出典:内閣府男女共同参画局「大学生等の就職活動状況等に関する調査」(2025年3月)

理系学生に人気な企業ランキング

企業

理系学生は、技術力や革新性に加え、働きやすさや成長環境を重視して企業を選ぶ傾向があります。ここでは「インターンシップガイド」の理系学生向け企業ランキングを参考に、上位企業の特徴をざっくり紹介します。

ソニーグループ

ソニーグループは、エレクトロニクスからエンタメ、金融まで多様な事業を展開するグローバル企業です。幅広い分野で最先端の技術開発に携われる点が、理系学生から根強い支持を集めています。

社内の異動や海外拠点へのチャレンジ機会も多く、キャリアの選択肢が豊富です。自分のアイデアで新しい価値を生み出したい人に人気の企業です。

味の素

味の素は、食品メーカーとしてのイメージが強い一方で、アミノ酸を基盤としたバイオ・ヘルスケア事業も展開しています。研究開発力の高さと、食と健康の両面から社会に貢献できる点が魅力です。

ワークライフバランスやダイバーシティへの取り組みも評価されており、「働きやすさ」と「やりがい」を両立したい学生に選ばれています。化学・バイオ系の学生を中心に人気が高い企業です。

KDDI

KDDIは、「au」で知られる通信事業者でありながら、DX支援やIoT・クラウドなど幅広いソリューションを提供しています。5Gや次世代通信インフラの整備など、大規模なプロジェクトに関わるチャンスがあります。

生活インフラを支える安定性と、新規事業に挑戦するベンチャー的な側面を併せ持っている点も特徴です。通信・ネットワークに興味がある理系学生に人気の企業です。

Sky

Skyは、業務用ソフトウェアや教育向けシステムなどを開発する成長中のICT企業です。自社開発比率が高く、エンジニアが主体的にものづくりに関われる環境が整っています。

若手のうちから責任ある仕事を任される風土があり、実力主義を好む学生から支持されています。安定と成長のバランスが取れた中堅IT企業を志望する理系学生にとって有力な選択肢です。

パナソニック

パナソニックは、家電から住宅設備、車載機器まで「くらし」に関わる幅広い製品を扱う総合電機メーカーです。環境・エネルギー分野への投資も積極的で、サステナブルな社会づくりに貢献できるプロジェクトが増えています。

関西発のグローバル企業として、日本国内はもちろん海外で活躍するチャンスもあります。生活に身近な製品の開発を通じて社会にインパクトを与えたい学生に選ばれています。

出典:インターンシップガイド「理系学生に人気の企業ランキング」(2025年版)

これから伸びる理系の仕事

芽ぶき

技術トレンドの変化にともない、今後さらに需要が高まると見込まれる理系職種もあります。将来性を重視したい人は、次のような成長分野も視野に入れてみましょう。

AIエンジニア

AIエンジニアは、生成AIや自動運転など、多くの分野で中核となる技術を扱う職種です。企業の業務効率化から新サービスの開発まで活用範囲が広く、今後も採用ニーズは増え続けると見込まれています。

数理や統計の知識が必要ですが、オンライン教材やスクールも充実しており学びやすい環境が整いつつあります。成長産業のど真ん中でキャリアを築きたい人におすすめです。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、あらゆる業界で「データを活かせる人材」として重宝されています。マーケティング、製造、金融など、活躍フィールドが業界横断的なのが特徴です。

スキルセットが汎用的なため、転職やフリーランスなどキャリアの選択肢も広がります。安定性と市場価値の両方を高めたい人にとって有望な職種です。

クラウドエンジニア

クラウドエンジニアは、AWSやAzureなどクラウドサービス上にシステムを構築・運用する専門家です。企業のシステム移行ニーズが高く、インフラエンジニアの中でも特に需要が伸びています。

自動化やセキュリティなど幅広い知識が求められるものの、その分スキルを身につければ市場価値は高くなります。インフラとソフトウェアの両方に興味がある人に向いています。

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃が高度化するなかで欠かせない存在です。クラウド化やリモートワークの普及により、企業のセキュリティリスクは年々増大しています。

攻撃者の視点と防御側の視点の両方を理解する必要があり、専門性は非常に高い分野です。国や企業レベルの重要な情報を守る仕事に関心がある「守りのプロ」志向の人に向いています。

ロボティクスエンジニア

ロボティクスエンジニアは、産業用ロボットやサービスロボットなど、人の代わりに作業を行うロボットを開発する職種です。少子高齢化による人手不足を補う手段として期待されており、工場だけでなく物流・介護・医療などさまざまな現場でニーズが高まっています。

機械・電気・制御・情報など複数分野の知識が必要ですが、そのぶんやりがいも大きい仕事です。ハードとソフトの両面からものづくりをしたい人におすすめです。

理系の仕事は未経験でも大丈夫か

多くの理系職種では、入社時点で完璧なスキルを求められるわけではありません。ポテンシャルを評価し、入社後の研修やOJTで育成する企業も多く存在します。

特にITエンジニア職は、文理を問わず未経験から育成する採用が活発です。一方で、研究職など一部の職種では大学や大学院での専門知識が前提となる場合もあります。興味のある分野には早めに触れておくことで、将来の選択肢が広がります。

【診断】理系だけどなりたい職業がない時はどうするか

悩む女の子

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理系に向いてる仕事のよくある質問

QA

最後に、理系の仕事選びでよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。気になるところだけつまみ読みしても大丈夫です。

理系の仕事は楽しいのか

理系の仕事の楽しさは、自分の手で作り上げたものや仕組みが目に見える形で世の中に出ていくところにあります。実験や開発がうまくいかない時期もありますが、その分ブレイクスルーした瞬間の達成感は大きいです。

ものづくりや探求のプロセスそのものを楽しめるかどうかが、向き・不向きの分かれ目になります。インターンや研究室で実際の雰囲気を体験してみるとイメージしやすくなります。

理系の就職率は高いのか

一般的に、理系の就職率は文系と比べて高い水準にあります。メーカーやIT企業、インフラ企業など、専門性を持つ人材を継続的に採用したい業界が多いためです。

大学推薦や学校と企業のつながりが強い専攻もあり、就活のルートが複線化しやすいのも特徴です。ただし人気企業に志望が集中する傾向もあるため、早めの情報収集で選択肢を広げておくことが大切です。

出典:令和5年度大学等卒業者の就職状況調査

理系の平均年収はどのくらいか

理系の平均年収はおよそ600万円が目安とされています。
文系よりわずかに高い傾向があり、専門スキルが評価される分、経験や資格によって年収が伸びやすいのが特徴です。

ただし、実際の年収は職種・業界・企業規模によって大きく変わります。
研究職・技術職・ITエンジニアなど、同じ「理系職種」でも年収帯は幅広いため、「職種×業界」で細かく確認することが重要です。

転職サイトや年収データを参考にしながら、希望条件に合うキャリアを具体化していきましょう。

出典:理系出身者と文系出身者の年収比較ーJHPSデータに基づく分析結果ー

理系でも文系職で働けるのか

理系出身者が営業や企画などの文系職で活躍するケースは珍しくありません。むしろ、データに強く論理的に説明できる人材として歓迎されることも多いです。

技術理解が必要な商材を扱う会社では、理系バックグラウンドが大きな強みになります。専門性にこだわりすぎず、「どんな働き方がしたいか」から職種を選ぶのも一つの方法です。

理系の仕事に有利な資格は何か

IT分野では基本情報技術者・応用情報技術者、インフラ分野では電気主任技術者や電気工事士などが代表的な資格です。これらの資格は基礎知識の証明になるため、就活や転職でのアピール材料になります。

加えて、TOEICなどの英語力もグローバル企業を志望する場合には大きな武器です。資格取得を目的化しすぎず、「どの仕事で活かしたいか」を考えながら選ぶと良いでしょう。

まとめ

理系のキャリアは、研究職・エンジニア・IT・インフラなど、想像以上に多様な選択肢があります。最後に、本記事のポイントを3つに整理しておきます。

この記事のまとめ
  • 理系の仕事は「研究職・技術職・IT職」を軸に、20以上の具体的な職種と複数の業界に広がっている。
  • 専攻や男女によって就職先の傾向は異なるが、どの専攻からも複数のキャリアパターンを選ぶことができる。
  • 「論理的思考力」「課題解決力」「コミュニケーション力」「知的好奇心」があれば、未経験分野にも挑戦しやすい。

もし今の時点で「自分に合う仕事が分からない」と感じていても、焦る必要はありません。まずは選択肢を知り、少しずつ興味のある分野を試していくことが大切です。

その第一歩として、ココシロの35問の適職診断を受けてみるのもおすすめです。無料で自分の強みと向いている仕事の方向性が分かるので、「どこから手をつければいいか分からない…」という人こそ、気軽に活用してみてください。

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