SPIの非言語(数学)で頻出の「順列・組み合わせ」、苦手意識を持っている就活生は多いのではないでしょうか?
実は、いくつかの基本的な考え方と公式さえ押さえてしまえば、安定して得点できる分野なんです。
この記事では、順列・組み合わせの基礎から応用まで、オリジナルな例題をたっぷり使って分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、順列・組み合わせを得点源に変えられるかもしれません。
こんな人に読んでほしい
- SPIの順列・組み合わせに苦手意識がある人
- 問題を見ても、順列か組み合わせか判断できない人
- 解き方のコツを知って、素早く正確に問題を解きたい人
SPI「順列」と「組み合わせ」の違いとは?

SPIの順列・組み合わせは、どちらも「場合の数」を求める問題です。「場合の数」とは、ある事柄が起こるケースが全部で何パターンあるのか、ということです。
ここで重要になるのが、「順列」と「組み合わせ」という2つの考え方。この2つの違いを理解することが、問題を解く上での最初のステップになります。
例えば、ここに「A」「B」「C」と書かれた3つのボールがあるとします。この中から2つのボールを取り出す場面を考えてみましょう。
「順列」は、取り出す順番まで考慮します。つまり、「Aを取り出し、次にBを取り出す」場合と、「Bを取り出し、次にAを取り出す」場合を別のものとして数えます。この場合の取り出し方は、「AB」「AC」「BA」「BC」「CA」「CB」の6通りです。
一方、「組み合わせ」は、取り出す順番は考慮しません。とにかく「どのボールが手元にあるか」だけを見ます。つまり、「AとB」が手元にあれば、どちらを先に取ったかは関係ありません。この場合の取り出し方は、「AとB」「AとC」「BとC」の3通りだけです。
このように、順番を気にするか、気にしないかで、数え方が変わってくるんですね。
SPI順列・組み合わせの基本

まずは、SPIにおける順列・組み合わせ問題の基本的な情報を押さえておきましょう。
難易度
難易度は、基本的な問題はそこまで高くありません。
ただし、応用問題になると複数の条件が絡み合い、少し複雑になります。油断せず、基本をしっかり固めることが大切です。
出題頻度
出題頻度は「非常に高い」です。
非言語の問題では、ほぼ毎回出題されると言っても過言ではありません。ここを対策するかどうかで、得点が大きく変わってきます。
出題される受験方式
テストセンター、Webテスティング、ペーパーテストなど、主要な受験方式すべてで出題されます。
どの形式で受験することになっても、対策は必須です。
一問にかけられる時間
SPIは時間との戦いです。順列・組み合わせの問題にかけられる時間は、1問あたり1分以内が目安です。
公式を覚え、素早く解法を思いつくトレーニングが欠かせません。
SPI順列・組み合わせの公式一覧

ここでは、計算をスピードアップさせるための重要な公式をまとめます。公式と具体例をセットで覚えましょう。
順列 (P)
異なるn個のものからk個を選んで並べる場合の数です。
【公式】nPk(nからk回カウントダウンして掛け算)
【計算例】₅P₃ = 5 × 4 × 3 = 60 通り
(5個の中から3個を選んで並べる)
組み合わせ (C)
異なるn個のものからk個を選ぶだけの場合の数です。
【公式】nCk (nからk回カウントダウンして掛け算 ÷ k!)
【計算例】₅C₃ = (5 × 4 × 3) ÷ (3 × 2 × 1) = 10 通り
(5個の中から3個を選ぶ)
円順列
異なるn個のものを円形に並べる場合の数です。
【公式】(n-1)!
【計算例】5人の円順列 = (5 – 1)! = 4! = 4 × 3 × 2 × 1 = 24 通り
同じものを含む順列
n個のうち、p個、q個…が同じものであるとき、すべてを並べる場合の数です。
【公式】n! / (p!q!r!…)
【計算例】a, a, b, c の4文字の順列 = 4! ÷ 2! = (4 × 3 × 2 × 1) ÷ (2 × 1) = 12 通り
【例題で解説】 SPI順列・組み合わせの解き方
それでは、先ほど確認した公式を使って、実際の例題を解いていきましょう。様々なパターンを網羅しているので、一つずつ確認してみてください。
例題①: スタンダードな順列-1
【問題】A、B、C、D、Eの5人が横一列に並ぶとき、並び方は何通りありますか?
5人全員を並べるので、5の階乗(5!)を計算します。これは5人の中から5人を選んで並べる順列₅P₅と同じ意味です。1番目の人は5通り、2番目は4通り…と全てのパターンを掛け合わせることで、網羅的に数えることができます。
式:5! = 5 × 4 × 3 × 2 × 1 = 120
答えは120通りです。
例題②: スタンダードな順列-2
【問題】6人のメンバーの中から、部長、副部長、書記を1人ずつ選ぶ方法は何通りありますか?
「部長」「副部長」「書記」という異なる役割があるので、順番が関係する「順列」です。6人の中から3人を選んで並べるので、公式は₆P₃となります。部長の選び方が6通り、副部長が5通り、書記が4通りと、選択肢が一つずつ減っていくイメージです。
式:₆P₃ = 6 × 5 × 4 = 120
答えは120通りです。
例題③: スタンダードな組み合わせ-1
【問題】赤、青、黄、緑、白の5色のペンの中から、3色を選ぶ方法は何通りありますか?
選ぶだけで順番は関係ないので「組み合わせ」です。5色の中から3色を選ぶので、公式は₅C₃を使います。₅P₃だと順番が違うだけのものも数えてしまうため、3色の並び順のパターン(3!)で割ることで重複をなくします。
式:₅C₃ = (5 × 4 × 3) ÷ (3 × 2 × 1) = 10
答えは10通りです。
例題④: スタンダードな組み合わせ-2
【問題】8人の学生の中から、プロジェクトに参加する3人を選ぶ方法は何通りありますか?
3人を選ぶだけで役割はないので「組み合わせ」です。8人の中から3人を選ぶので、₈C₃の公式に当てはめます。選ばれたA君、B君、C君の3人は、どの順番で選ばれても同じグループなので、3人の並び順(3!)で割るのを忘れないようにしましょう。
式:₈C₃ = (8 × 7 × 6) ÷ (3 × 2 × 1) = 56
答えは56通りです。
例題⑤: 円順列
【問題】両親と子供3人の合計5人が円形のテーブルに座るとき、座り方は何通りありますか?
円形に並べる場合は「円順列」の公式 (n-1)! を使います。回転して同じになる並びを1つと数えるため、1人分の場所を固定して考えるのがポイントです。5人なので、(5-1)!となり、4人の順列と同じ計算になります。
式:(5 – 1)! = 4 × 3 × 2 × 1 = 24
答えは24通りです。
例題⑥: 同じものを含む順列
【問題】「KOKOSHIRO」の8文字をすべて使って作れる文字列は何通りありますか?
Kが2つ、Oが3つと同じ文字を含んでいるので「同じものを含む順列」の公式を使います。まず全体(8文字)の順列(8!)を計算します。その後、重複している文字(Kが2つ、Oが3つ)の階乗(2!と3!)で割ることで、正しい場合の数が求まります。
式:8! / (2! × 3!) = 3360
答えは3360通りです。
例題⑦: 重複を許す組み合わせ
【問題】リンゴ、ミカン、バナナの3種類の果物を、合計で5個買うとき、買い方は何通りありますか?ただし、買わない果物があっても良いものとします。
これは「重複組み合わせ」で、〇と仕切り|を使って考えます。5個の〇と2つの|(3種類に分けるため)を並べる組み合わせの問題に変換できます。合計7つの場所から、仕切りを入れる2つの場所を選ぶので₇C₂で計算できます。
式:₇C₂ = (7 × 6) ÷ (2 × 1) = 21
答えは21通りです。
例題⑧: 決まった2組に分ける
【問題】6人の生徒を、Aチームに3人、Bチームに3人分ける方法は何通りありますか?
AチームとBチームは区別されているので、まず6人からAチームに入る3人を選ぶ組み合わせ(₆C₃)を計算します。Aチームのメンバーが決まれば、残りの3人は自動的にBチームになります。そのため、Bチームを選ぶ計算は必要ありません。
式:₆C₃ = (6 × 5 × 4) ÷ (3 × 2 × 1) = 20
答えは20通りです。
例題⑨: ランダムな2組に分ける
【問題】6人の生徒を、3人ずつの2つのグループに分ける方法は何通りありますか?
チームの区別がないため、例題⑧の計算(₆C₃)だと重複が発生します。具体的には「{A,B,C}と{D,E,F}」の組と「{D,E,F}と{A,B,C}」の組を別々に数えてしまっています。この2つのグループの入れ替わり(2!)で割る必要があります。
式:(₆C₃) / 2! = 20 ÷ 2 = 10
答えは10通りです。
例題⑩: 決まった3組に分ける
【問題】9人の学生を、掃除、洗濯、料理の3つのグループに3人ずつ分ける方法は何通りありますか?
グループに名前が付いているので区別があります。まず9人から掃除グループの3人を選び(₉C₃)、次に残りの6人から洗濯グループの3人を選びます(₆C₃)。それぞれの組み合わせを掛け算することで答えが求まります。
式:₉C₃ × ₆C₃ = 84 × 20 = 1680
答えは1680通りです。
例題⑪: ランダムな3組に分ける
【問題】9人の学生を、3人ずつの3つのグループに分ける方法は何通りありますか?
例題⑩で求めたのは区別がある場合でした。今回は区別がないので、3つのグループが入れ替わるパターン(3!)の重複を消す必要があります。例題⑩の答えを3!で割り算します。
式:(₉C₃ × ₆C₃) / 3! = 1680 ÷ 6 = 280
答えは280通りです。
例題⑫: 不均等な人数で分ける組み合わせ
【問題】7人を、4人、2人、1人の3つのグループに分ける方法は何通りありますか?
グループの人数がすべて異なるため、グループは自動的に区別されます。そのため重複を気にする必要はありません。7人から4人を選ぶ組み合わせ(₇C₄)と、残り3人から2人を選ぶ組み合わせ(₃C₂)を掛け合わせます。
式:₇C₄ × ₃C₂ = 35 × 3 = 105
答えは105通りです。
例題⑬: 順列と組み合わせを組み合わせた応用問題
【問題】男子4人、女子3人の中から3人を選び、一列に並べる。このとき、並べ方は何通りありますか?
「選んで並べる」は順列(P)の考え方です。合計7人の中から3人を選んで並べるので、公式₇P₃を使います。これは、7人から3人を選ぶ組み合わせ(₇C₃)を計算し、その3人の並べ方(3!)を掛けるのと同じ結果になります。
式:₇P₃ = 7 × 6 × 5 = 210
答えは210通りです。
例題⑭: 複数条件が絡む組み合わせ-1
【問題】男子5人、女子4人の中から、4人の代表を選ぶとき、男子2人、女子2人が選ばれる場合は何通りありますか?
「男子を選ぶ」と「女子を選ぶ」は別の事象なので、それぞれ計算して掛け合わせます。男子5人から2人を選ぶ組み合わせ(₅C₂)と、女子4人から2人を選ぶ組み合わせ(₄C₂)を計算します。この二つの結果の積が答えです。
式:₅C₂ × ₄C₂ = 10 × 6 = 60
答えは60通りです。
例題⑮: 複数条件が絡む組み合わせ-2
【問題】1から9までの数字が書かれたカードが1枚ずつある。この中から3枚のカードを引くとき、少なくとも1枚は偶数である場合は何通りありますか?
「少なくとも」と来たら逆の事象(余事象)を考えます。「すべての場合の数」から「すべて奇数である場合の数」を引けばOKです。全体は9枚から3枚選ぶ₉C₃、すべて奇数は5枚の奇数から3枚選ぶ₅C₃で計算できます。
式:₉C₃ – ₅C₃ = 84 – 10 = 74
答えは74通りです。
SPI順列・組み合わせを解く時のコツ

最後に、問題をスムーズに解くためのコツを3つ紹介します。意識するだけで、正答率とスピードが上がりますよ。
「並べ方」と「選び方」の違いを理解する
これが最も重要です。問題文を読んで、順番に意味があるのか(順列)、ないのか(組み合わせ)を瞬時に判断できるようにしましょう。
役職があるか、ただのグループか、などが判断のポイントです。
重要公式を覚える
基本的な順列 (nPk) や組み合わせ (nCk) の計算はもちろん、頻出パターンの公式は暗記してしまうのが効率的です。
公式を覚えていれば、考える時間を大幅に短縮できます。
図にして考える
問題が複雑でイメージしにくい場合は、簡単な図や樹形図を書き出すのがおすすめです。
状況を可視化することで、どの公式を使えばいいのか、何を計算すればいいのかが見えてきます。
SPI順列・組み合わせのオリジナル練習問題
例題で基本的な順列・組み合わせの問題を理解することができたら、次は練習問題に取り組んでみましょう!
ココシロが独自に作成したオリジナル問題です!
まとめ
今回はSPIの頻出分野「順列・組み合わせ」について解説しました。苦手意識をなくし、得意分野に変えるためのポイントは以下の通りです。
- 「順番が関係あるか(順列)、ないか(組み合わせ)」を最初に見極める!
- 基本的な公式は必ず暗記して、計算時間を短縮する!
- 「少なくとも」と来たら逆の事象(余事象)を考えると楽になることが多い!
これらのポイントを押さえて、たくさんの問題に触れることが上達への一番の近道です。
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