就職活動で多くの学生が頭を悩ませるWebテスト、その中でも特に「GABテスト」は難易度が高いと言われ、
「SPIと何が違うの?」
「時間が足りないと聞くけど、どう対策すればいい?」
と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。そんな疑問や不安を解消するため、この記事では、GABテストの種類ごとの特徴から、言語・計数・英語・性格検査といった科目別の具体的な対策方法、そして時間配分のコツまで、徹底的に解説します。
こんな人に読んで欲しい
- GABテストとSPIの違いを知りたい方
- GABテストとSPIの違いが分からず、対策方法に悩んでいる方
- GABテストのボーダーラインや対策のコツを知りたい方
- ES作成など他の就活タスクと両立しながら、効率的にGABテスト対策を進めたい方
GABテストとは?

結論として、GABテストとは、新卒の総合職採用でよく使われる、論理的な思考力や、職務適性を測るための、難易度が高い適性検査です。
このGABテストは、日本SHL社が開発した「Graduate Aptitude Battery」の略称で、主に総合商社、専門商社、証券・投資、総研など、高い情報処理能力と論理的思考力が求められる業界で導入される傾向があります。
このテストがただの学力テストと違うのは、ビジネス現場での活躍を予測しようとする点にあります。
つまり企業は、「プレッシャーがかかる状況で、複雑な情報を正確に処理し、論理的な判断を下せるか」という、入社後の活躍可能性を直接見極めようとしているわけです。
この性質から、GABテストは「適性検査で一番難しい」と言われることもあります。
【比較】GABテストとSPI、玉手箱の違い
ここからは、GABテストとSPI、玉手箱の違いを解説していきます。
GABテストとSPIの違い
GABテストとSPIの最大の違いは、問題形式と、どんな能力を測っているかという点にあります。
- GABテスト:「情報処理の速度と正確性」
長文読解や図表の読み取りが中心で、未知の情報を制限時間内にどれだけ速く正確に処理できるかを重視。 - SPI:「基礎的な学力と思考力」
短い文章問題が中心で、中学・高校レベルの知識を問う問題で構成されている。
例えば言語分野では、SPIが語彙や文法など幅広く出題するのに対し、GABテストは数百字の長文を読み、その内容が論理的に「正しいか(A)」「間違っているか(B)」「本文からは判断できないか(C)」を判断する問題に特化しています。
計数分野でも、SPIが推論や損益算など多様な計算問題を出すのに対し、GABテストはほとんどが図表の読み取り問題で占められています。
GABテストと玉手箱の似ている点・違い
- GABテストと玉手箱の似ている点
問題形式が似ている - GABテストと玉手箱の違い
玉手箱の方が問題形式のバリエーションが少し豊富
両テストは開発元が同じなので、問題の設計思想や出題のクセが共通しており、片方の対策がもう一方にも有効に機能します。そのため、GABテストの練習台として玉手箱を採用している企業を先に受けることも有効ですよ。
さらに、GABテストや玉手箱のようなSHL系のテストは、問題が使い回されることが多いと言われています。ある内定者は「5回受ければ初見問題はほぼなくなる」と述べているほど。
そのため、志望度が比較的低い企業で練習し、問題自体を「覚える」という戦略が非常に有効です。
受検方式で対策が変わる!GABテスト3種類
GABテストには、受検場所やルールが異なる主に3つの種類があり、それぞれに特化した対策が不可欠です。
3つの形式(WebGAB, C-GAB, GABペーパー)は、科目、時間、問題数、電卓使用の可否といったルールが複雑に異なります。これらの違いを以下の表で確認し、自分の受けるテストに合わせた正しい対策を計画しましょう。

①WebGAB
WebGABは、自宅で受検でき、電卓が使えるのが特徴です。自宅で受けられる手軽さがある一方で、言語52問/25分、計数40問/35分と問題数が多く、時間内に効率よく解くための戦略が求められます。
電卓が使えるため、複雑な計算を手作業でする必要はありません。しかし、どの数値をどう計算するかを素早く判断し、正確に電卓を操作するスキルが必要になります。
②C-GAB
C-GABは、テストセンターで受検し、「電卓使用不可」と「英語必須」が大きな特徴の最難関テストです。
計数では暗算や筆算のスピードが、英語では短時間での長文読解力が直接問われるため、対策がより重要になります。言語・計数ともに試験時間が15分と極端に短く、GABテストの中で最も時間的制約が厳しいテストです。事前の対策なしでの高得点は非常に困難と言えるでしょう。
③GAB(ペーパー)
ペーパー形式のGABテストは、企業が用意した会場で受けるマークシート方式のテストです。企業説明会と同日に行われることもあり、伝統的な選考方法の一つです。
問題数は非公表ですが、試験開始と同時に問題冊子全体に目を通すことができるのが特徴。試験が始まったら、まず問題全体をざっと見て、得意な問題や時間のかかりそうな問題を把握し、大まかな時間配分を計画する戦略が有効です。電卓の持ち込みが許可されることが多いですが、企業の指示を必ず事前に確認しましょう。
【科目別】GABテストの例題と高得点のコツ
GABテストの各科目は出題形式が独特なため、科目ごとの「解き方のコツ」を掴み、体に覚えさせることが高得点の絶対条件です。GABテストは時間との勝負。問題のパターンを理解し、反射的に解法が思い浮かぶレベルまで練習することで、限られた時間内で正答率を最大化できます。
以下で、言語・計数・英語・性格検査のそれぞれについて、具体的な解き方のコツと例題を解説します。
GABテストの言語理解
言語理解では、長文をいきなり読むのではなく、必ず設問に先に目を通す「先読み」が時間短縮と正答率アップの鍵です。
先に長文を全て読んでから設問を見ると、該当箇所を探すために再度読み返すことになり、致命的な時間ロスに繋がります。そのため、設問を先に読むことで、「何を探せばいいか」という目的を持って長文を読むことができます。
【解き方のポイント】
- 設問文を読み、キーワード(人名、地名、専門用語など)を頭に入れる。
- 本文を読み進め、そのキーワードが出てきたら、その周辺を注意深く読む。
- 設問文と本文の内容を照らし合わせ、選択肢A/B/Cを判断する。
例題
長文を読み、4つの設問に対しいずれかの解答を選択します。
【出題文】
研究には、さまざまな方法があります。実験室で行う研究、書物と向き合う研究、コンピュータで計算する研究など、分野や対象、目的によって方法は異なります。人間社会の文化のさまざまな姿を実証的に明らかにしようとする文化人類学は、「フィールドワーク」という研究の方法を何よりも重視します。
これは、研究者が対象となる地域に自ら足を運び、そこに滞在しながら調査をすることです。
文化人類学は、世界中に植民地をもっていた19世紀のイギリスで誕生します。当時の文化人類学者たちは、自分でフィールドワークをするのではなく、各地の植民地行政官や旅行者たちが書いた本を集めて書斎で勉強し、人類の文化についての理論を考えるという方法をとっていました。このため、めずらしい文化の断片的知識を寄せ集め、全体を想像でつなぐといった、実証的でない研究もしばしば行われていたのです。
このような、自分で現地に行って調査をしない研究の姿勢は、後に「安楽いす人類学」(書斎にこもって行う文化人類学)などと批判されるようになりました。そして、研究者自身が「足で学ぶ」、つまり、対象となる地域を訪れ、直接観察を通して文化を学ぶという方法を重視する現在のスタイルが確立しました。
文化人類学が生み出したフィールドワークという方法は、やがて社会学などのほかの学問にも大きな影響を与え、今日では多くの分野がそれを取り入れています。
【設問】
書斎にこもって研究を行う姿勢への批判が、フィールドワークを重視するスタイルの確立につながった。
A.本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
B.本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
C.本文だけでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。
【解答】
A
【解説】
「安楽いす人類学」は、研究者が現地に足を運ばない姿勢を批判した言葉。3段落目で、こうした批判からフィールドワークを重視した現在のスタイルが確立したことが述べられているため、答えはA。
GABテストの計数理解
計数理解では、複雑な図表から問われている数値を素早く正確に抜き出す練習が最も重要です。計算自体は電卓(WebGAB/ペーパー)が使えるため難しくありませんが、スコアを分けるのは、どの数値を計算に使うのかを判断する能力です。
【解き方のポイント】
- C-GABでは電卓が使えないため、日頃から暗算・筆算のトレーニングが必須です。
- 選択肢の数値が大きく離れている場合、詳細な計算をせず、概算(ざっくりとした計算)で答えを絞り込むテクニックも有効です。
- 問題集を解く際は、常にタイマーを使い、1問あたり1分以内で解くペースを体に染み込ませましょう。
例題
【設問】
式中の▢に入る数値として正しいものを選択肢のAからEまでの中から1つ選びなさい。
400の▢%は128
A. 32
B. 3.2
C. 320
D. 0.32
E. 3.125
【解答】
A.32
【解説】
128/400=0.32なので答えは32%。
GABテストの英語
C-GABの英語は、言語理解と全く同じ「設問の先読み」戦略で攻略します。問題形式(長文を読み、A/B/Cで答える)が言語理解と酷似しているため、同じ解き方が最も効率的です。
【解き方のポイント】
- 24問を10分で解くため、1問あたりの時間は約25秒と極めて短いです。解けない問題は勘でマークして次に進む勇気も必要です。
例題
言語問題同様、長文を読み、4つの設問に対しいずれかの解答を選択します。
【出題文】
The ice cream cone is said to have been invented by accident at the St. Louis Exposition of 1904. It was created through the collaboration between a waffle-maker and an ice cream seller at the exposition. One day the ice cream seller ran out of bowls for serving ice cream. At that moment, a nearby waffle-maker offered to make cones by rolling up waffles. The two served cones containing ice cream. The new product became popular at the exposition — and worldwide.
(引用:これが本当のWebテストだ!(1) 2027年度版 【玉手箱・C-GAB編】)
【設問】
Lots of new industrial products were displayed at the St. Louis Exposition.
A. The statement is patently TRUE or follows logically, given the information or opinions contained in the passage.
B. The statement is patently UNTRUE or the opposite follows logically, given the information or opinions contained in the passage.
C. You CANNOT SAY whether the statement is true or untrue, or follows logically, without further information.
【解答】
C
【解説】
本文では、万国博覧会の陳列内容については触れていない。よって、設問文の正誤は判断できないためC。
参考:これが本当のWebテストだ!(1) 2027年度版 【玉手箱・C-GAB編】
GABテストの性格検査
性格検査では、自分を偽らず、正直かつ一貫性のある回答をすることが、信頼性を獲得し、結果的に高評価に繋がります。
なぜなら、性格検査には、回答の信頼性を測るための仕組みが組み込まれているからです。表現を変えた類似の質問に対し矛盾した回答をすると、「嘘をついている」「自己理解ができていない」と判断され、能力検査のスコアが良くても不合格になる可能性があります。
例えば、「チームで協力するのが得意だ」に「はい」と答えた後、「一人で黙々と作業する方が好きだ」にも「はい」と答えると矛盾が生じます。無理に完璧な人物を演じるのではなく、「一貫性のある自分」を提示することをゴールにしましょう。
性格検査に一貫性を持たせるためには、自己分析によって自分を理解することが不可欠です!しかし、そもそも「自己分析のやり方が分からない・面倒」と感じる人もいますよね。そんな方におすすめなのが、自己分析の教科書です。
【初心者向け】GABテストのおすすめ勉強法
GABテスト対策は、1冊の問題集を徹底的に繰り返すことが最も効果的です。計画的な学習で、短期間でもスコアは確実に上がりますよ!
GABテストは出題範囲が狭く、問題パターンがある程度決まっています。そのため、複数の参考書に手を出すよりも、1冊を完璧にマスターする方が、解法の定着率が高く効率的なんです。
【GABテスト対策に効果的な勉強法4ステップ】
- 参考書を1冊に絞り、繰り返し解く: 「これが本当のCAB・GABだ!」など、評価の高いものを1冊選び、最低3周は解きましょう。1周目は時間を気にせず解き方を理解し、2周目以降は時間を計ってスピードを意識します。
- 時間を計る習慣をつける: 常にストップウォッチを使い、本番のプレッシャーに慣れましょう。
- 模擬試験を受ける: 参考書の学習がある程度進んだら、Webサイトやアプリの模擬試験で実力を試しましょう。
- 練習企業で本番を体験する: 志望度が低い企業でGABテストや玉手箱を実際に受けてみることが、最高の練習になります。
GABテスト対策スケジュール例(1ヶ月)
GABテスト対策初心者は、具体的な週ごとのタスクを計画することで、迷わず効率的に学習を進められます。「何から手をつければいいか分からない」という状態では、学習が進みませんよね。以下のスケジュールは、無理なく、しかし着実に実力を向上させるための現実的なロードマップです。

GAB対策と両立してすべきこと
ES対策
GABテスト対策と同様に、就職活動ではES作成にも膨大な時間がかかりますよね。そんなときは、AIツールを賢く活用し、捻出した時間で企業研究や面接対策など、より重要な活動に集中しましょう。
就活生は、平均してES1枚に4時間もかけており、複数社へのエントリーは大きな負担です。GABテスト対策で求められる「効率性」は、ES作成においても同様に重要。ここで時間を短縮できれば、就活全体の質を向上させることができます。
ES作成AI「SmartES」は、約10万件の選考を通過したESだけをAIに学習させています。自分の経験や強みを箇条書きで入力するだけで、AIが企業の求める「勝ちパターン」に沿った構成と表現で、魅力的なESの文章を数十秒で自動作成してくれます。
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面接対策
ES対策やWebテストの対策以上に大事なのが、面接対策です。
ESやWebテストに合格したとしても、面接で自分の強みやガクチカ、志望動機について説得力をもって話せなければ、内定をつかむことは難しいです。
しかし、「面接対策って具体的にどうすればいいの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。そんな方にぴったりなのが、ココシロインターンの個別面談です。このサービスでは、プロのキャリアアドバイザーと一対一で面接練習を行うことができ、自分の課題点を客観的に教えてもらうことができます!完全無料なので、ぜひ利用してみてください。
GABテストに関するQ&A
ここでは、GABテストに関するよくある疑問に回答し、最後の不安を解消します。ボーダーラインや実施企業など、多くの学生が共通して抱く疑問を知ることで、より具体的な目標設定や企業選びが可能になりますよ。
Q1. GABテストのボーダーは?
A: 企業や選考時期によって大きく異なりますが、一般的には6〜7割が合格ラインと言われています。
ただし、総合商社(特に住友商事など)や一部外資系企業では8割以上が求められることもあります。一方で、内定者からは「体感5割で通過した」という声もあり、一概には言えません。まずは6割突破を目標にしましょう。
Q2. GABテストを使う企業は?
A: 総合商社、専門商社、証券・投資銀行などの金融業界、シンクタンク、大手メーカーなどで多く採用されています。
これらの業界は、GABテストが測る「高い情報処理能力」や「論理的思考力」を重視する傾向があります。具体的な企業名としては、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、博報堂、東京ガスなどが挙げられます。
Q3. GABテスト対策はいつから?
A: 本選考であれば、大学3年生の12月〜1月頃、遅くとも本番の1ヶ月前には始めたいところです。学習時間の目安は10〜20時間と言われていますが、苦手な分野がある場合はさらに時間が必要です。
就活の全体的なスケジュールは、こちらの記事を参考にしてください。
Q4. 分からない問題も埋めるべき?
A: はい、埋めるべきです。
GABテストでは、SPIの一部の形式と異なり、誤謬率(不正解の割合)は計測されないと言われています。そのため、空欄で提出するよりも、勘でもいいので全ての欄を埋めた方が得点できる可能性が上がります。 わからない問題に時間をかけすぎず、とりあえずマークして次に進む判断が重要です。
【体験談】GABテストで落ちる人・受かる人
GABテストの合否を分けるのは、才能ではなく「正しい戦略と練習量」です。先輩たちの失敗談と成功談から、具体的な行動計画を学びましょう。
GABテスト失敗談:Aさんのケース

「SPIと同じようなものだろう」と高を括り、GABテスト対策をほとんどせずに本命の総合商社のC-GABを受験。
言語の長文は意味が分からず、計数は電卓が使えないことに会場で気づいてパニックになりました。時間が全く足りず、半分も解けずに終了。性格検査も焦って適当に答えてしまい、結果は当然お祈りでした。GABテストをなめていたことを心から後悔しました。
GABテスト成功談:Bさんのケース

最初のWebテストで惨敗した後、GABテストの特性を徹底的に研究し、戦略を立てて再挑戦することにしました。
まず『これが本当のCAB・GABだ!』を一冊買い、3周して解法パターンを暗記しました。特に計数は、時間を計って解く練習を徹底。そして、本命の金融業界の前に、練習としてメーカーの玉手箱とGABテストを受験し、本番の雰囲気に慣れました。本命のC-GABでは、難しい問題は捨てて6割正解を目標に切り替え、冷静に解き進めることができ、無事通過できました。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。この記事の内容をまとめると以下のようになります。
- GABテストは「適性検査で一番難しい」と言われることもある
- GABテストを攻略するには、徹底した時間配分の練習が必要!
- GABテストを攻略するには、玉手箱で練習するのもおすすめ
これらを意識して対策を進めることで、本番で焦らずに自分の実力を最大限に発揮できます。この記事で紹介した対策法を参考に、まずは自分に合った参考書を1冊見つけて、繰り返し解くことから始めてみてください。
そして、ES作成といった他の就活タスクは「SmartES」のような便利なツールで効率化し、万全の準備で第一志望の企業の選考に臨んでください。あなたの就職活動が成功することを心から応援しています!
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